特に用事はなかったのだが。
私は中央プラトン街道/ブルンネンシュティグ入口付近をふらついていた。
そういう奴に厄介事は降りかかって来るのだろうか。
巨大な剣を大地に突き刺し、それにもたれかかっている戦士に呼び止められた。

見知らぬ人… それにあまり関わりたくないタイプの相手だったので、丁寧に断ってさっさと立ち去るのが得策か。
「どなたですか?見知らぬ方なので、失礼…。」
そう言い放って背を向けて立ち去ろうとしたのだが、

逆に相手の気に障ったらしい。
(仕方なしい。さっさと依頼をこなすのが一番か。)
そう思うことにして、話を聞く。

(効率的な座り方…?)
戦いの後で体を癒すために座ることは、ある。
だが、より効率のいい座りかたとはいったい何なのか?
いつも花を集めて何に使うかは詮索しないこととして、私は彼がいつも摘んでいる場所へと向かった。

時折自分の不器用さに笑いつつ10輪ほど摘み取り、彼の元へと戻る。

…その後効率的な座り方を教えてもらったのだが、果たして本当に効果はあるのだろうか?
体感できるほどのものではなかったので、単なる時間潰しと思うことにして私は立ち去った。
またある時。
ブルンネンシュティグ入口付近を歩いていた私はベンデルカンプ先輩に呼び止められた。

ここで断っても前と同じようにどうたらこうたら言われるのがオチだろうと考え、話を聞いてみることにした。

ふむ。前の座り方だけ覚えていてもさほど役に立たないというわけだろうか?
特に用もない私は引き受けることにした。

そういわれて赤いペンを渡された。
何となく先輩の全体像が見えてきた気がしないでもない。
付近を散策し、コボルトを見つけたら気絶させて落書きをする。

「額に肉…っと。」
落書きを10匹ほどにして、先輩の下に戻った。

こうして、より効率的な座り方を教えてもらった。
…体感できるほどではないのは、相変らずだが。
またまたある時。
ブルンネンシュティグ入口付近を歩いていた私はベンデルカンプ先輩に呼び止められた。

「自分でやれー。」と言えるはずもなく。

そして赤いペン。
先輩も相変らずだ、と思いつつ辺りのコボルトに落書きをしてくる。
一通り周った後に先輩の元へと戻る。
満足げな顔をしなが、「よくやった!」と私の頭をわしわしと撫でる。
そして、さらに効率のいい座り方を教えてくれた。

確かに微々たるものと感じたのだが、まだ私が適当な座り方だったときと比べたら大分楽になったのかな?
そしてある時。
ブルンネンシュティグ入口付近を歩いていた私はベンデルカンプ先輩に呼び止められた。

(もう落書き関連は勘弁してくれよ。)

この周辺のコボルトを率いている奴が、コボルトチャンプと呼ばれているのは聞いた事がある。

私は鬱蒼とした森の中を駆ける。
時折、腐った動く死体や、成仏できなかった魂や、錆びた動く鎧やらに出くわしながら。
そして、奴の姿を見つけた。
よりたくましい肉体。より鋭い槍。
並のコボルトよりはるかに優れた能力を持ち、仲間を率いる存在。
その猛々しい姿に駆け出しの冒険者は躰を震わせるだろう。


…まぁ、そんなわけで。
先輩の下へ戻って報告する。

そして、先輩が知っている最も効率のいい座り方を教えてもらった。
「これで教えることはもう何もないな。」よくやった と私の頭をぐしゃぐしゃに撫で回してくれた。
私は先輩にお辞儀をして、露天ひしめく街の中に
暫くしてある時。
ブルンネンシュティグ入口付近を歩いていた私はベンデルカンプ先輩が新米冒険者に花をとってこい!とか、コボルトの顔に落書きしてこい!
と怒鳴っている先輩をいつも見かける。
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